今回は、ネットショップを開業するなら知っておきたい「配送」・「送料」について話したいと思います。
前回お話しました商品の仕入れについて価格優位性が出るポイントの一つとして「送料」という話でしたが、今回はその「送料」を担う配送会社さんの事情も踏まえて書きたいと思います。また、自社在庫・自社出荷を導入・検討するためのポイントも説明したいと思います。
目次
商品の配送の流れ
まずはこちらの図を見てください。こちらがネットショップの配送の流れです。
商品の流れは以下の通りです。
ネットショップ → 営業所 → 物流センター(発) → 物流センター(着) → 営業所 → 消費者
という流れで配送がされます。
各所でトラックの積み下ろしや仕分けが行わていることがわかるかと思います。
配送会社の事情とは?
配送の流れを踏まえて、配送会社の事情を説明したいと思います。
1カ所でなるべく多くの荷物をひきとりたい
荷物の集荷は1ヶ所あたりの引き取り個数を多くして、集荷先を少なくしたいという事情があります。
例えばですが、100個荷物が入るトラックがあるとします。
A)5ヶ所回って、100個分埋まる
B)1ヶ所だけ回って、100個分埋まる
AとBのどちらが効率いいかは明白ですよね。もちろんBのような集荷が1ヶ所で済むところです。
1カ所でなるべく多くの荷物をひきとるメリットとしては、集荷時間の手間を減らすことができ、時間・燃料コストを減らすことができるからです。
また、逆を考えてみると、集荷する箇所が増えて・かつ、1ヶ所あたりの引き取り個数も分散してしまうと、集荷効率が悪くなり、その分、必要なトラックが増えてしまいます。必要なトラックが増えると、ドライバーも必要になり、さらに燃料コストも分散してしまうため、さらにコストがかかり、非効率化しまうのです。
持ち運びしやすい荷物を多くひきとりたい
当たり前ですが、持ち運びしやすい荷物を多くひきとりたいという事情があります。この持ち運びしやすい荷物というのは、つまり「大きくない」・「重くない」というような商品です。
理由としては、まず、配送時の破損は極力避けたいからです。高価な骨董品や美術品など、破損した場合のリスクは高く、運ぶメリットが少ないです。
また、トラックからの積み下ろしの際の手間も大事です。1人で運べる大きさ・重さの方が効率がいいです。なので、家具や家電など、2人以上での持ち運びを要する荷物は避けたいのが本音です。
自社から出荷を検討する場合は、まず相当数の出荷個数が必要
それでは、自社から商品を出荷することを検討する際には、どうしたらいいか?
これまで配送会社の事情の説明をしましたが、それらを踏まえると、持ち運びしやすいサイズの荷物をなるべく多く出荷できる状況に近くなる必要があるということです。(もちろん、商品によって重さ・サイズは特性があります。大きい・重い商材が比較的多いショップもあると思います。その場合、品揃えを拡げる意味でも、小さい・軽い商材を増やしていくのがバランスがいいと思います。)
つまり、配送会社・ネットショップ側ともにwinwinとなる取引条件にできるようにするべきです。そのためには、まずは相当数の出荷個数が必要です。
配送会社に見積を取ると、見積書に月間あたりの最低出荷個数が記されていると思います。まずはその出荷最低個数を余裕をもってクリアできる受注量・規模感が必要です。
自社出荷成功への王道はまずヒット商品をつくること
既に自社商品と販路があって、ポテンシャルとして、販売個数が相当数あるなら別ですが、ネットショップ開業と同時に商品を仕入れ(もしくは生産・在庫)して販売するケースだと、配送会社にとってスケールメリットのある個数を出荷するのは難しいかと思います。
自社出荷成功への王道は1)自社在庫がない運営の場合、メーカー直送商品でまずヒット商品をつくること。2)自社商品・在庫商品がある場合、ネットショップ専門の出荷代行会社を通しての出荷で、出荷量を増やしていくことです。とにもかくにも、まずは「数」を出せるようにして、自社在庫・出荷(場所がない場合は倉庫を借りて)にして発送した方がメリットが出る、というケースに持っていくのが王道です。
倉庫に借りるにしろ、要は配送会社・自社間での直接契約ができれば、自社でコントロールできる範囲が広くなり、メリットも増えると思います。(ここまで持っていくのはなかなか大変ですが…)
今回は、配送会社の事情から考える、自社在庫・自社出荷を導入・検討するためのポイントを説明しました。次回は、具体的にスケールメリットが出荷について例でご紹介したいと思います。