ネットショップ運営者なら知っておきたい出荷代行・物流倉庫(3PL)の費用について

前回、「3PL」について話をしました。今回はネットショップ運営者なら知っておいて損はない出荷代行・物流倉庫会社(3PL)を利用するための費用について説明したいと思います。
「出荷」はお客様(エンドユーザー)にお届けするための配送リードタイムや配送料などに関わる、ネットショップを運営する上で、非常に重要なポイントになるので、たとえ実務で直接的にお役に立つ機会がなくても間接的にお役に立てるかと思いますので、ぜひご一読下さいね。

かかる費用の種類

それでは、今回はケースとして、主にかかる費用として、保管料、入出庫料、配送料について説明したいと思います。

保管料

保管料はその名の通り、商品を保管する費用となります。保管料の計算は倉庫や商品によって計算方法が異なってきますが、ここではメジャーな計算方法を紹介します。

・「1期1才=●円」のケース(=保管した量だけ費用がかかる)
これは、1期毎(10日間毎)に1才(体積の単位)を●円として計算する方法です。1才(さい)というのは体積の単位のことで、物流業界専門の用語です。通常、27,000立方cmの体積を1才と表現します(1才の目安サイズは30.3cm×30.3cm×30.3cm=0.028m3です。)

保管期間は10日間毎(1期毎)に区切って、費用を計算します。通常、1ヵ月(3期分)の合計を費用として請求する仕組みです。
この形式のいいところは、保管する商品が少なければ、その分、保管料が安くなるところです。保管した分のみ請求料金となるので、例えば、流通の閑散期は在庫量を少なくして保管料を下げることができます。ただ、在庫コントロールに失敗すると、繁忙期に在庫が少なくなってしまい、保管料は低いが、その分、販売できる在庫が少なく、結果、売上が低くなります。

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・「坪単価=●円」のケース(=保管する量に関わらず一定)
これは1坪あたり、●円として計算する方法です。基本的にこの場合、荷物の数が多かろうが少なかろうが、費用は変わりません。
賃貸するのと変わりません。この形式のいいところは、契約している坪数の限界ギリギリまで商品を保管していた方がお得になるという点です。例えば、人気商品のような欠品を防ぎたくない、むしろ在庫を多く積んでおきたい商品などは、このような倉庫にたくさん入れておけば、欠品を恐れずに販売ができます。ただ、在庫コントロールに失敗すると、在庫を多く積みすぎて、逆に新しい商品を入荷するスペースがなくなってしまうリスクがあります。

ただ、最近は比較的小さいサイズの商品向けに、ラック単位で借りることができる、小規模なネットショップも利用できる出荷代行会社さんが増えています。この場合、ラック1台1ヵ月あたり500円~と、リーズナブルな料金で提供されているので、最初はこのような形態から始めてみるのが、いいかもしれません。

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入出庫料

入出庫料は、その名の通りです。商品を仕入れて保管するために倉庫に入れることを入庫、お客様から注文が入って、商品を出荷することを出荷といいます。その入庫と出荷に対してに手数料がかかります。倉庫の方では、商品の出し入れ(積み下ろし)やピッキング、送り状の作成など、いろいろ作業が発生しますからね。
料金についてですが、商品によっては梱包が必要だったり、同梱物を入れるなどのオプション対応がありますので、一概に安い高いは言えませんが、保管料ほどの料金ボリュームはないです。(規模による)

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配送料

配送料は、その名の通り、お客様(エンドユーザー)へお届けするための配送料金です。
国内の配送会社は主に、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などになり、配送会社と出荷代行会社が配送契約を結んでいます。ネットショップ事業者は出荷代行会社に配送料金をお支払する形となります
ネットショップ事業を始めたばかりで、まだ出荷数量が少ない場合、直接配送会社に見積りを取っても、おそらくシビアな見積りが返ってきてしまうかと思います。
そのような場合、出荷代行会社を利用すれば、手数料が乗っていても、利用するメリットはとても大きいと思います。もちろん、出荷数量が多い場合も、出荷する手間(ピッキングや梱包など)を考えたら、代行してもらった方がいいケースも、もちろんあります。

デバン料

これは補足になりますが、ネットショップ事業でコンテナ単位で将来的に輸入したい場合や、それでなくても、倉庫会社さんの業務を知る上で知っておいて損はない項目です。デバン料とはコンテナで仕入れて倉庫に入れる場合に発生する費用です。海外からコンテナで輸入する場合、日本に到着したら、港からコンテナをトラックに載せて保管する倉庫まで向かいます。倉庫に到着したら、コンテナの荷物を倉庫に入れていきます。そのコンテナから荷物を倉庫に移す作業を(コンテナ)デバンといいます。このデバン作業は倉庫会社の人が行います。単に荷物を移す作業といっても、コンテナサイズによっては、かなりの量の荷物が入っていますので、倉庫会社も場合によっては、臨時の人員をアウトソースするなどして、この作業を行います。デバンが発生する日は倉庫スタッフさんは忙しいです。単に荷物を移すだけでなく、個数の確認や、倉庫内での効率的な荷物の配置・整理をしなければなりませんからね。

一番は保管料です。

倉庫を利用する場合の費用の一番は保管料(※配送料は除いています)です。ざっくりの割合ですが、

・保管料:90%
・入出庫料:6%
・その他費用:4%

※商材(サイズ・重さ)にも寄ります。

これが物流倉庫を借りる際の費用の割合の目安です。見ての通り、保管料が大部分を占めています。この保管料をどれだけコントロールできるかが、とても大切です
そして、保管料をコントロールするためのポイントは、ずばり、在庫の量とその回転、つまり在庫回転率です。

在庫は多すぎず、少なすぎずが大切

在庫回転率をうまくコントロールできれば、保管料を低く抑えることができます

商品単位で考えてみると、在庫回転率が低ければ売り上げのペースが遅い商品ですし、在庫回転率が高い商品(人気の商品)は、在庫切れを起こしてしまう可能性があります。

商材によっては商品の消費期限のあるものなど、適正な在庫回転率は業界・商材によって様々ですが、適正な在庫回転率を維持することが、ネットショップに限らず小売業にとってはともて大切です。

ちなみに、在庫のコントロールがうまくいかず、人気の商品が売切れてしまうと、ネットショップでは、かなり命とりです。

というのが、人気商品がそのショップの新規集客の入り口となっている場合が多く、新規ユーザーがその商品からショップに入り、他の商品を買うチャンスがあるからです。欠品してしまうと、モールによっては、検索に表示されなくなるなどで、アクセスの元を失ってしまうリスクがあります。

バイヤーとなる立場の人は、ロットや仕入れ元、流通が上がる時期なども踏まえ、適正な仕入れ数量を心がけたいものです。

ちょっと話がそれてしまいましたが、ネットショップ運営者なら知っておきたい出荷代行・物流倉庫(3PL)の費用について書いてみました。利用を検討する場合は、上記の内容を踏まえて、費用シミュレーションをしてみて検討するのがいいかと思います。

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