転換期のEコマース市場。中小零細事業者が生き残るための次の一手とは?

ネットショップ運営代行・制作代行のソノサキニンの本木です。

前回の記事でもお伝えした通り、ここ数年、Eコマース市場は明らかに転換点を迎えています。これは小規模な事業者だけでなく、業界をけん引してきた大手ショップにも同様の傾向が見られる、ということでした。

楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー常連の知名度ある準大手ECショップの相次ぐ倒産は、単なる偶然ではなく、EC業界の構造変化や経済環境の変動を反映した現象です。今回の記事では、これらの事例からわかること、さらに中小零細のEC事業者が今後のEC業界で生き残る方法についてズバリ!解説します

準大手ECショップの倒産からわかること

【原因1】薄利多売モデルが崩壊し、利益が出にくい構造に

準大手レベルのEC事業者は、価格競争で大手(Amazon、楽天公式ショップ、ユニクロなど)にも、小規模な個人ECにも挟まれがちです
規模的には準大手でも、価格以外の付加価値(独自性・接客・体験)を出せない事業者のダメージは大きいです。

【原因2】為替変動リスクの顕在化

円高・デフレ時に好調であった「輸入販売+在庫型モデル」は、為替変動や物流費高騰のダメージも受けやすい状況となっています。その結果、大量仕入れによって単価を下げて利益率を確保するモデルが通用しにくくなっています。
また、消費者の嗜好の変化が早くなっているため、在庫リスクが以前より高く、不良在庫が経営を圧迫するリスクも高くなっています。

【原因3】広告に頼るビジネスモデルは限界に

EC事業者の数が過剰に増えた結果、SNS広告やリスティング広告などの広告の費用対効果が落ちており、新規顧客の獲得単価が上昇しています。
特に「低価格+広告」で獲得した顧客のリピーター化は難しく、LTV(ライフタイムバリュー)が伸び悩む中で、広告に頼るビジネスモデルは限界に達しています。特にファッション系は、流行の変化が激しく、一度ヒットしても継続しにくい点が痛手となっています。

【原因4】プラットフォーム依存のリスク

楽天市場・Yahooショッピング・アマゾンなどのプラットフォームに依存している場合、手数料やアルゴリズム変更の影響を大きく受けることになります。
これまでプラットフォームに進出していなかった大手メーカーが公式サイトとしてモールに直接出店しているケースも増え、モール全体の流通は伸びていても、「中間層」のショップが埋もれやすくなっています。

【原因5】消費者の価値観の変化

「価格」や「ブランド」だけではなく、サステナビリティ・エシカル消費・利便性など多様な価値を求めるようになっています。
その結果、モールのようなプラットフォームで購入していたユーザーがSNSで商品を探して、モール外での購入する経路が増えています。型番商品や並行輸入品などの「価格訴求型EC」は、選ばれにくくなってきています。

今後のEC業界で中小零細事業者が生き残る方法とは?

以上のように、Eコマース市場は現在、外部的要因(為替変動やインフレ)と内部的要因(ビジネスモデルの陳腐化や競争激化)という二重の波に直面し、まさに大きな転換期を迎えていることがお分かりいただけたかと思います。従来の成功パターンが通用しなくなりつつある中で、今こそ戦略の再構築が求められています。では、そのような環境下において、リソースも限られた中小零細のEC事業者は、どのような方向性を見出していくべきなのでしょうか。実際の事業モデル例と合わせて数パターン紹介します。

【方向性1】フォロワーに支持されることによってブランド化したショップを目指す

時代は、良きも悪くもSNS全盛期です。近所にお寺のお坊さんさえも、インスタのアカウントをもっている時代です。Youtube・インスタグラム・TikTok・XなどのSNSを通じて自社を新しい顧客に認知してもらい、フォローしてもらう。価格ではなく「共感やストーリーで選ばれるブランド」が支持を得やすい状況となっています。

(事業モデル例)
オリジナル商品×SNS×コミュニティ型運営

【方向性2】DtoCモデルの洗練と進化を目指す

メーカーが直接販売する「DtoC(Direct to Consumer)」モデルは引き続き有望です。
ただし、単なるオリジナル商品では通用しない時代です。「ブランドとしての一貫性」と「CX(顧客体験)」設計が鍵です。

(事業モデル例)
「健康志向」「無添加」「素材の味を生かす」といった価値観に重きを置くカフェのECサイト
→地元産米粉(グルテンフリー)を使った焼き菓子で、パッケージには「地元生産者の名前・顔写真」「農場の風景写真」などを掲載し、顔の見える安心感をPRしていく。

【方向性3】ライブコマースや動画による販売強化

昔に比べて、同じ通信料金でも多くの動画も気にせず見られる時代となりました。その結果、Eコマースにおいて、静的な商品ページだけでなく、動画コンテンツ・ライブ配信・実演動画など「動画」を活用した販売チャンネルも増えています。

(事業モデル例)
・和菓子店が、製造風景や焼きたての様子をライブ配信して売上アップ
・コスメ系のD2Cブランドが「使い方動画」でCVRを改善

【方向性4】 BtoB ECや越境ECの成長余地

日本国内は少子高齢化により、縮小傾向にあるマーケットでパイの取り合いとなっています。
国内のEC市場が成熟化している中、BtoB ECや越境ECが次の成長ドライバーになっています。

(事業モデル例)
・焼き菓子の法人向けBtoB EC販売(カフェ・ホテル・道の駅・ギフトショップ向け)
・「抹茶×地元素材」の焼き菓子の越境EC。日本らしいパッケージで「ギフトボックス」として販売。

まとめ:時代の変化に適応できるEC事業者だけが生き残る!

準大手ECショップの相次ぐ倒産は、単に一部の企業の経営判断ミスではなく、EC市場全体が根本的な構造変化に直面していることの表れです

価格競争、広告依存、大量仕入れといった旧来の成功モデルは限界を迎えつつあり、今後は「共感されるブランドづくり」や「体験価値の設計」「販売チャネルの多様化」「BtoB・海外市場の開拓」など、変化に対応した柔軟な戦略が求められます。

資本力に乏しい中小・零細事業者にとっては厳しい時代にも思えますが、逆にいえば、身軽さや意思決定の速さを武器に、時代の潮流に合わせてすばやく舵を切ることができる立場でもあります。ピンチを思ったそこのアナタ!ピンチはチャンス!新しい道を切り開いていく絶好のタイミングだと思いませんか?

「なぜこの商品を扱うのか」「誰に届けたいのか」「どんな物語を伝えるのか」価格や在庫の勝負ではなく、自分たちだからこそ提供できる価値を丁寧に設計し、発信し続けることこそが、これからのEC業界を生き抜く鍵となるでしょう!
今回は、準大手ECショップの相次ぐ倒産からわかること、さらに中小零細のEC事業者が今後のEC業界で生き残る方法について解説しました。最後までお読み頂きありがとうございました。また、引き続きよろしくお願いいたします。

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